あなたは今、公務員としてキャリアアップやスキルアップするために、どの資格を取るべきか悩んでいるのではないでしょうか。
資格といっても沢山の種類が存在しており、正直、何を選んだらいいのかわからなくなりますよね。僕も初めはどの資格を取ればいいかわからず、頭を悩ませていました。
しかし、日常業務を通じて様々な部署の方と交流をする機会があり、各部署の仕事内容や「おすすめの資格は何か?」を直接教えてもらったことで、自分自身が今取るべき資格や選び方を知ることができました。
本記事では、実際に複数の資格を取得してきた現役公務員である僕が、以下のポイントをご紹介します。
- 公務員が取るべきおすすめ資格10選とその活用場面
- ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)
- 日商簿記検定
- ITパスポート
- 基本情報技術者
- 行政書士
- 宅地建物取引士(宅建士)
- 中小企業診断士
- 統計検定
- Microsoft Office Specialist(MOS)
- VBAエキスパート
- 自分自身に合った資格の探し方
- 資格取得を目指す上で注意すべきこと
この記事を見ることで、あなたにとって「手に入れるべき資格は何か」がわかり、資格に合格するための次の一歩を踏み出すことができるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
【必見】公務員におすすめの資格10選
それでは早速、公務員が取得するべきオススメの資格は何かをご紹介していきます。
僕が紹介する公務員のおすすめ資格は以下の10個です。
おすすめ資格名 | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
---|---|---|---|---|---|
ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士) | お金に関する幅広い知識を得られる 税・国保・年金・建設局・商工振興部署で役立つ 生命保険・不動産・金融業界の転職で優遇 | 以下いずれかを満たす者 【3級】 FP業務に従事している者または従事しようとしている者 【2級】 3級技能検定の合格者 FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者 等 【1級】 2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者 FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者 等 | 【3級】 FP協会(学科+実技):8,000円 きんざい(学科+実技):8,000円 【2級】 FP協会(学科+実技):11,700円 きんざい(学科+実技):11,700円 【1級】 FP協会(実技):20,000円 きんざい(学科):8,900円 きんざい(実技):28,000円 | 【3級】 学科(FP協会):83.1% 実技(FP協会):86.6% ※2024年1月 【2級】 学科(FP協会):39.0% 実技(FP協会):61.1% ※2024年1月 【1級】 学科(きんざい):16.0% 実技(きんざい):88.2% 実技(FP協会):96.2% ※2024年9月 | 3級:80-150時間 2級:150-300時間 1級:450-600時間 |
日商簿記検定 | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
企業会計に関する知識が得られる 法人と関わる部署で役立つ 経理職としての転職で優遇 | なし | 3級:3,300円 2級:5,500円 1級:8,800円 | 【3級】 Web試験:40.3% ※2024年4月~6月実施 統一(紙)試験:40.7% ※2024年6月実施 【2級】 ネット試験:39.8% ※2024年4月~6月実施 統一(紙)試験:22.9% ※2024年6月実施 【1級】 統一(紙)試験:10.5% ※2024年6月実施 | 3級:60-120時間 2級:250-350時間 1級:500-700時間 | |
ITパスポート | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
ITの一般常識が得られる 情報システム部門や各所属のシステム担当として役立つ | なし | 7,500円 | 50.7% ※2024年10月実施 | 180時間 | |
基本情報技術者 | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
ITパスポートよりも専門的な知識が得られる 情報システム部門や各所属のシステム担当としてより専門的に活躍できる IT業界の転職で優遇 | なし | 7,500円 | 47.1% ※2023年度 | 200時間 | |
行政書士 | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
行政手続き全般の基礎知識が得られる 行政手続きを行う部署の全てで役立つ 法的な専門業務があるため独立するキャリアに進むことができる | なし | 10,400円 | 14.0% ※2023年度 | 800-1000時間 | |
宅地建物取引士(宅建士) | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
不動産に関する法律・税制の知識が得られる 建設局の全般で活かせる 不動産業界の転職で優遇 | 日本国内に居住する者 | 8,200円 | 17.2% ※2023年度 | 400-500時間 | |
中小企業診断士 | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
中小企業に関する経営・政策などの幅広い知識が得られる 中小企業支援などを行う部署で活躍できる 経営企画、事業企画などの職種に転職する際に優遇 | なし | 1次試験:14,500円 2次試験:17,800円 | 1次試験:29.6% 2次試験:18.9% ※2023年度 | 1000-1200時間 (1次試験+2次試験) | |
統計検定 | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
データを客観的に分析し課題を解決するスキルを身に着けられる 全ての部署で活かせる | なし | 4級:5,000円 3級:6,000円 2級:7,000円 準1級:8,000円 1級:12,000円 | 4級:81.8% 3級:53.9% 2級:49.1% 準1級:35.3% 1級:約22.9% ※2023年度 | 4級:5-20時間 3級:10-30時間 2級:50-60時間 準1級:300時間 1級:300-400時間 | |
Microsoft Office Specialist(MOS) | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
Word・Excel等の基礎知識から高度なテクニックまで身に着けられる 全ての部署で活かせる | なし | 一般レベル:10,780円 上級レベル:12,980円 | 一般レベル:約80% 上級レベル:約60% | 一般レベル:60-90時間 上級レベル:90-120時間 | |
VBAエキスパート | 資格のポイント | 受験資格 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間 |
Excel・AcsessにおけるマクロやVBAに関する実践的なスキルを身に着けられる 全ての部署で活かせる 転職活動でも事務能力の高さをアピールできる | なし | 【Excel】 ベーシック:13,200円 スタンダード:14,850円 【Acsess】 ベーシック:13,200円 スタンダード:14,850円 | 【Excel】 ベーシック:81% スタンダード:59% 【Acsess】 ベーシック:56% スタンダード:46% ※2019年5月~2023年12月受験者データより集計 | 【Excel】 ベーシック:25-30時間 スタンダード:70-75時間 【Acsess】 ベーシック:25-30時間 スタンダード:70-75時間 |
ここから、それぞれの資格について順番に紹介していきます。
1.ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)
1つ目にご紹介する資格は「ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)」です。
FP技能士は、家計に関わる金融・税制・不動産・公的保険・民間保険・相続などの幅広い分野において、相談者が目指す「目標」や「夢」が実現できるようライフプランに応じた適切なアドバイスを行うお金の専門家です。一般的には「FP」と呼ばれたりもします。
また、この資格は厚生労働大臣が指定する試験機関(日本FP協会、きんざい)でのみ受験ができる国家資格です。
FP技能士は以下のように様々な分野で業務に活かすことができるため、資格を取得することでより広い知見を得ることができます。
- 税・・・住民税課、固定資産税課、納税課 など
- 公的保険・・・国民健康保険課、国民年金課 など
- 金融・・・商工・産業振興課 など
- 不動産・・・都市計画課、建築指導課、住宅政策課 など
- 相続・・・納税課、空き家対策課 など
また、FP技能士は3級、2級、1級と分かれており、3級は比較的簡単に合格ができるため、資格を取ることが初めての人にもオススメできる資格です。
3級を受験した時に驚いたのが、当時会場で僕の目の前に小学校高学年の子供たちが受験していたことです。「今の子たちはこんなに早くからお金の勉強をしているのか・・・」と感心したことを覚えています。
2.日商簿記検定
日商簿記検定は、日本商工会議所・各地商工会議所が認定する民間資格です。世間で「簿記」と呼ばれている資格は、大体この日商簿記検定のことを指しています。
簿記とは、「企業や個人事業主の営業取引や経営活動を帳簿(紙または電子媒体)に記録する技術」を意味します。
簿記を学ぶことで、以下の能力が身に付きます。
- 企業の経理事務に必要な会計知識
- 財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)を読む力
- 基礎的な経営管理や分析力
公務員の業務に関しては、市民対応であれば簿記はそこまで活用しないかもしれませんが、企業に関わる部署(経済部や企画部、財政部)では企業の決算書などを確認することがよくあるため、教養として持っていて損はない資格です。
また、僕は簿記2級を保有していますが、転職活動においては簿記2級を持っているだけで企業から高い評価を受けたため、業務内外を問わず幅広く役に立つ資格としてオススメです。
3.ITパスポート
ITパスポートは、ITを利活用するすべての社会人が備えておくべきITに関する基礎知識を習得することができる国家資格です。
具体的には、ITパスポートを学習することで以下のような知識を身に着けることができます。
- IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識
- AI、ビッグデータ、IoTなどの新たな技術
- 経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識
- プロジェクトマネジメントの知識 など
公務員の業務では、主に情報システム部署や、各部署におけるシステム担当としても、ITパスポートを活かすことができます。
また、新しいキャリアという視点では、ITパスポートだけでは転職で活かすことが難しいものの、IT専門資格(基本情報技術者など)の入門編としては必ず押さえておきたい資格です。ITに興味・関心がある方にオススメです。
ITに関する一般常識が学べる、という感じですね!
4.基本情報技術者
基本情報技術者は、経済産業省が「情報処理の促進に関する法律」に基づき認定する国家資格です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する試験に合格することで取得ができます。
この資格を取ることで、ITを活用したサービス、製品、システムおよびソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に着けていることを証明することができます。
そのため、資格を取得することでIT業界への転職活動で活かすことができるのも特徴です。
公務員の業務では、情報システム課や各部署のシステム担当としてより専門的に戦略立案、システム要件定義などに参画できるでしょう。また、基本情報技術者の学習ではプロジェクトマネジメントも学ぶことができるため、(中間)管理職になった際にも活用が期待できます。
難易度はITパスポートより高めです。IT分野の専門性を高めたい人におすすめの資格です。
5.行政書士
行政書士は、市役所などの官公署に提出する書類、その他権利義務または事実証明に関する書類作成業務を専業とする国家資格です。
行政書士の試験範囲は憲法や民法、行政法、商法といった法令知識が必要となります。行政書士の資格取得を目指すことで、公務員に必要とされる法律の基礎知識が学ぶことができ、そのまま業務に役立てることができるといったメリットがあります。
また、行政書士は上述のとおり専門業務を持っている強みがあるため、資格取得後に独立するといったキャリアを歩むこともできる特徴があります。
さらに、公務員にはより有利な点があります。それは、国家公務員または地方公務員として行政事務に17年以上(中卒の場合20年以上)従事した場合、試験を受けなくても行政書士の資格が手に入ることです(これを「特任制度」と言います)。
公務員としてのスキルアップだけでなく独立開業をしてみたいという方は、公務員と馴染みのある行政書士にチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
6.宅地建物取引士(宅建士)
宅地建物取引士(宅建士)は、国土交通大臣によって認定される国家資格であり、商売として土地や建物の売買やその仲介を行う者が取得する必要のある資格でもあります。
宅建士を取ると、以下のスキルを身に着けることができます。
- 権利関係の法律知識(民法、借地借家法など)
- 不動産の税制に関する知識(固定資産税、不動産取得税など)
- 土地や建物に関する基礎知識
宅建士の学習では、上記の法律だけでなく都市計画法、建築基準法、農地法、土地区画整理法、宅地建物造成等規制法などが取り扱われます。
したがって、公務員の業務では建築指導課や都市計画課、住宅政策課や農地課などの建設局関係の業務で活かすことができます。
また、宅建士を持っていると転職活動でも有利に働きます。
僕自身が転職活動をした際、宅建士資格を持っていたおかげで不動産業界(インフラ系、売買・賃貸、管理系)から幅広くオファーをいただいたため、不動産業界にチャレンジしてみたい方にもオススメの資格となっています。
7.中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家であり、法律で定められている国家資格です。
企業の経営課題は多岐にわたることから中小企業診断士の試験範囲も幅広く、学習を進めることで以下のようなスキル・知識を身に着けることができます。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム(IT)
- 中小企業経営・政策
公務員の業務では、経済部署などの地域の経済活性化(主に中小企業)に向けた施策立案などに非常に役に立ちます。また、学習範囲に法務、会計、財務などが入っているため、関係部署でも活かすことができます。
他方、転職活動においても企業経営に必須な知識を身に着けられることから、経営企画、事業企画といった職種からのニーズがあり、ビジネスマンとしても取得して損はない資格のためオススメです。
8.統計検定
統計検定は、一般財団法人 統計質保証推進協会が実施する統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験(民間資格)です。
統計検定を学習することで、データを客観的に分析し課題を解決するスキルを身に着けることができます。
近年では、行政事務を行う上でもEBPM(Evidence Based Policy Making;証拠に基づく政策立案)が求められることが多くなりました。統計検定はそんな場面でも活かすことができ、実際の業務では、政策立案の場面はもちろん、議員・住民向けの資料作成にも役立ちます。
また、統計検定は4級~1級まで設けられており、4級に関しては数学が得意ではない方も比較的馴染みやすい学習内容となっているため、まずはここから始めてみることをおすすめします。
9.MOS(Microsoft Office Specialist)
MOS(Microsoft Office Specialist)は、マイクロソフト社製品であるWordやExcel、PowerPointなどの知識・操作スキルを有している証明となる、世界でも通用する国際資格(民間資格)です。
マイクロソフト社には、Word(文書作成ソフト)、Excel(表計算ソフト)、PowerPoint(プレゼンテーションソフト)などの製品がありますが、MOSは各製品のバージョン(例:Excel2016、Excel2019)ごとに応じた資格が用意されています。
また、WordとExcelには「一般レベル」「上級レベル(エキスパート)」の2段階の難易度が用意されており、各製品がどれくらい活用できるかによって受験の選択ができます。
試験科目 | 一般レベル | 上級レベル(エキスパート) |
---|---|---|
Word | Wordでの基本的な編集機能を理解している方 (例) 文字サイズやフォントの変更 表の作成・編集 作成した文書の印刷 など | Wordでの高度な機能を理解している方 (例) スタイル機能 目次・索引作成などの長文機能 他のアプリケーションソフトからのデータ取り込み など |
Excel | Excelでの基本的な操作を理解している方 (例) 数式や基本的な関数の作成 セルの書式設定 グラフ作成 など | Excelでの高度な機能を理解している方 (例) ピボットテーブルなどのデータ分析 条件付き書式や入力規則の設定 マクロの作成・編集 など |
(Microsoft Office Specialist公式の情報を基に表作成)
MOSを習得することで、公務員でほぼ必須スキルであるWord・Excel・PowerPointを使用した文書、資料などの作成に役立たせることができます。
ただ、MOSの受験料は意外と高額であることから、初歩的な試験内容である一般レベルは独学でカバーし、上級レベル(エキスパート)ではMOS試験を受験することをおすすめします。
- 一般レベル ・・・ 10,780円(学割価格8,580円)
- 上級レベル(エキスパート) ・・・ 12,980円(学割価格10,780円)
また、WordやExcel、PowerPointは多くの方がビジネス・プライベートで利用していることもあり、参考書も沢山販売されています。
なので、一般レベルにおいては、有料スクールは使わず参考書を使った独学で十分でしょう。
\ 上級レベルに挑むなら /
10.VBAエキスパート
VBAエキスパートは、株式会社オデッセイコミュニケーションズが実施している、Microsoft社製品であるExcel、Acsessの「マクロ」・「VBA(Visual Basic for Applications)」のスキルを証明する民間資格です。
マクロ・VBAのスキルを身に着けることで作業の自動化や、大量データの一括処理などの業務改善に役立てることができ、VBAエキスパートでは実際の業務で多用される機能・プログラミングコードを重視しているため、単純な資格取得だけではなく対策学習によって実務力を身に着けることができます。
公務員の業務では、効率化という観点でどの部署でも役に立ちます。公務員は膨大な住民データを取り扱うことが多いため、マクロやVBAが使えるようになると、大幅な時間削減が期待できるでしょう。
また、この資格は民間企業でも同様に役立つスキルであることから、転職活動時においても能力をアピールすることで有利に働くことが期待されるため、おすすめの資格と言えます。
公務員が資格を取得する4つのメリット
おすすめ資格などを紹介する前に、資格取得のメリットについて紹介します。
公務員が資格を取得するメリットは次の4つです。
- 既存の業務に付加価値を付けることができる
- 成功体験を得ることができ、自信がつく
- 本当にやりたいことが見つかる
- 花形の部署に異動できる(キャリアアップできる)可能性がある
公務員には金銭的なインセンティブはないものの、資格取得を通じてスキル向上のみならず、新しい可能性・キャリアの選択肢が見つかるため非常に有意義であると言えます。
※公務員が資格取得するメリットの詳細は以下の記事で紹介しています。
公務員による資格選びの4つのポイント
公務員が資格を探すときは、以下の4つのポイントを軸にすると良いです。
- 業務にどのように役立つか
- プライベートで役立つか
- ビジネスシーンで役立つか
- コスパ・タイパは良いか
順番に説明していきます。
1.業務にどのように役立つか
一つ目は「業務にどのように役立つか」です。
資格を取る目的が本業のスキルアップであれば、自分が今担当している業務に関係している資格を選ぶことで、資格勉強をしながら本業のスキルアップができます。
具体的には、公務員は法律を使い仕事をすることが多いため、自分が担当している業務の関係法令が試験範囲に含まれている資格を探してみると、取得するべき資格が見つかります。
2.プライベートで役立つか
二つ目は「プライベートでも役立つか」です。
本業に役立つのはもちろん、その資格がプライベートでも役立つかによって、その資格をどれだけ活かすことができるかが変わります。
例えば、後述するFP(ファイナンシャル・プランニング技能検定)については、お金に関する幅広い知識を身に着けることができますが、プライベートにおいても、税の仕組みや公的保険、金融、不動産、相続など、自分のライフイベントで役立つ知識を身に着けることができます。
つまり、職場だけではなくプライベートにおいても学習した知識をアウトプットすることができるのです。
このように、プライベートでも役立つ資格を取得することで、アウトプットできる頻度が増え、資格で得た知識を活かすことで生活の質が向上するようになります。
3.ビジネスシーンで役立つか
三つ目は「ビジネスシーンで役立つか」です。
公務員が従事する行政事務は、主に法律に関する知識の習得が求められます。
法律の知識って、結構奥が深くて専門的になりがちですよね。その分、専門人材として成長できるので学ぶ意義は大いにあるとは思いますが。
しかし、もし資格取得の目的として新たなキャリア形成(=民間企業等への転職)を考えているのであれば、その資格で得られるスキルが民間企業でも役に立つか?という視点は持っておいた方が良いです。
また、新たなキャリア形成が目的でなくても、社会人・ビジネスマンとして持つべきスキルがあるかないかで、公務員として働く上で仕事を円滑に・建設的に進められるかどうかが変わってきます。
例えば、プロジェクトのマネジメントスキル、秘書のスキル、エクセルやワードの能力など、行政事務上の専門性はないものの、そのスキルを持つことで仕事のスピードや質が向上し、結果として本来の業務に集中することが期待できます。
資格を選ぶときは、ビジネスシーンで役立ちそうかという視点も持っておくことをおすすめします。
4.コスパ・タイパは良いか
四つ目は「コスパ・タイパは良いか」です。
コスパ、タイパは略称であり、正式名称は下記のとおりです。
- コストパフォーマンス(コスパ)・・・費用対効果ともいう。費やしたお金に対する効果や満足度を表す。
- タイムパフォーマンス(タイパ)・・・時間対効果ともいう。費やした時間に対する効果や満足度を表す。
資格取得を目指す際、どれだけお金や時間がかかるかを事前に把握しておくことをお勧めします。
というのも、資格の中には難易度が高いものもあり、資格取得の目的を達成する上で想定していた予算や学習時間をはるかに超えてしまう可能性があるためです。
もちろん、難関資格を取ることで、専門性の高い人材に成長したり、それによって新たなキャリアを形成することが期待できるため、コスパ、タイパにこだわりすぎるのも良くないと思います。
しかし、資格を取得する目的が明確であれば、その目的に効率的に到達できる資格を選ぶべきです。
また、もし目的がはっきりとしていないのであれば、上述で紹介したポイントを踏まえ、できるだけ低予算・短時間で取得できる資格を選び、成功体験を積むことをおすすめします。
以上が、公務員が資格を選ぶときの4つのポイントでした。
資格を選ぶ際には、より幅広い場面で役に立ち、効率的に取得できるかどうかを基準に探してみてください。
【落とし穴!】資格取得で気を付けるべき4つの注意点
資格取得を目指すうえで気を付けなければならない点は、以下の4つです。
- 学習のモチベーションが続かない
- 勉強した気になってしまう
- 「資格取得すること」自体が目的になってしまう
- これまでの生活リズムが崩れる可能性がある
順番に解説していきます。
1.学習のモチベーションが続かない
一つ目は「学習のモチベーションが続かない」です。
資格勉強は2~3か月から半年、長ければ数年と長期にわたる可能性があります。
初めは「やってやるぞ!」と意気込んでいたものの、だんだんと体力・精神的に疲弊することもあります。
しかし僕の経験上、定期的な息抜きは必要不可欠であると考えています。僕の場合、週に1回は友人と遊んだり、趣味を満喫する時間を設けていました。
大事なのは、勉強する時間、遊ぶ時間、休む時間を計画的にスケジュールすることです。
メリハリをもって取り組むことで、集中力を維持しながら効率よく学習することができるのです。
2.勉強した気になってしまう
二つ目は「勉強した気になってしまう」です。
結構これがやっかいです。
僕の体感的には、「1日●時間」のように、時間で区切って計画を立てると集中力が切れたときに無意識にスマホをいじったり、ぼーっとしてしまうことがあります。
資格試験で合格するためには、テキスト、問題集、過去問などを何周も回す必要がありますが、勉強時間はしっかり確保していたものの、実際の勉強量は少なかった・・・ということが多くあります。
なので、「勉強した気」になってしまわないよう、集中して取り組める環境を整えたり、活動指標を勉強時間ではなく「勉強量」にするといった、仕組みを変えていくことが大切です。
3.「資格取得すること」自体が目的になってしまう
三つ目は「『資格取得すること』自体が目的になってしまう」です。
資格を取得し始めてある程度時間が経ち、様々な資格を目指すようになった人が陥りやすい注意点になります。
努力して資格を手に入れるという成功体験を経験すると、自分の可能性を感じるようになる一方で、いろいろな資格に手を出してしまい、既に手に入れた資格を活かせず放置してしまうことがあります。
人は新しい情報を取り入れ、古い情報を忘れていきます。せっかく時間や体力、お金を費やして手に入れた資格も、忘れていってしまうのなら初めから手に入れる必要はありません。
既に保有している資格を含め、新しい資格にチャレンジする場合は「これからどのように活用していくのか」を整理するよう意識して資格取得を目指しましょう。
4.これまでの生活リズムが崩れる可能性がある
四つ目は「これまでの生活リズムが崩れる可能性がある」です。
資格勉強を始めると、今まで費やしてこなかった「勉強時間」を、1日のどこかに入れなければなりません。
特に家庭を持っている人においては、家族との時間を捻出して資格勉強をすることになるかもしれません。
僕もFP1級の勉強をしていた時は、当時交際していた彼女に「勉強に集中しすぎて相手にしてくれない」と不満を漏らされたことがあります・・・(笑)。
そういう経験もあり、最近では1日の時間の使い方を見直し、これまで無駄にしていた隙間時間を有効活用しようと意識するようになりました。
「生活リズムが崩れる」と書きましたが、資格取得に適応して、これまで無駄に過ごしていた時間をかき集めることで勉強時間を作ることに繋がるため、1日の時間の使い方が洗練され、実際には生活リズムが整っているのかもしれません。
以上が、資格取得を目指す上で気を付けるべき4つの注意点でした。
資格勉強を始めることで環境に変化が生じるかもしれませんが、あなたにとってベストな形で生活リズムに適応させていきましょう。
【まとめ】あなたに合った資格でキャリアアップを目指そう!
ここまで、公務員のためのおすすめ資格についてご紹介しました。
公務員の業務範囲は幅広く、最初はどの資格を取るべきか迷ってしまうかもしれません。
その場合は、あなたが現在働いている職場でどのように活かせるか?をイメージし、それに適した資格を目指すのが馴染みやすいでしょう。
また、「業務の範囲を超えてプライベートでも活用できるか?」や「キャリアの選択肢が広がるか?」などもあわせて考えられると、資格を取る意義がさらに深まります。
ぜひ、あなたに合った資格を取得し、スキルアップ、新しいキャリアを拓いていきましょう!